Introduction

近年、政府は「働き方改革」を推し進めており、一環として2018年に「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が公布され、順次施行されています。企業の人事労務にとってこれは非常に影響の大きい重要な法改正となります。

本記事では、「働き方改革関連法」でどのような法改正がなされたのか、企業はどのように変わっていくのかを解説します。

改正概要 働き方改革関連法には複数の改正が盛り込まれていますが、ここでは以下の8点を取り上げます。

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    時間外労働の上限規制

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    「勤務間インターバル制度」導入推進

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    年次有給休暇の確実な取得(年5日の時季指定)

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    労働時間の客観的な把握

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    フレックスタイム制度の拡充

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    高度プロフェッショナル制度の導入

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    60時間超時間外労働割増賃金の引き上げ

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    雇用形態に関わらない公正な待遇確保

改正のポイント 以下、働き方改革関連法の改正ポイントを1つ1つ解説します。

  • # 01

    時間外労働の上限規制

    労働基準法改正などにより、時間外労働に上限規制が定められました。

    上限規制の内容は以下のとおりです。

    1.時間外労働の上限として、月45時間、年360時間が原則。

    2.臨時的な特別な事情があっても、年720時間、複数月平均80時間、単月100時間未満(休日労働含)を限度とする。

    3.臨時的な特別な事情があっても、時間外労働が月45時間を超えるのは6か月が限度。

  • # 02

    「勤務間インターバル制度」導入推進

    労働時間等設定改善法の改正により、勤務間インターバル制度の導入推進を目指し、事業主の努力義務が明文化されました。(義務ではないため、罰則は無い点に注意)

    事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努める必要があります。

  • # 03

    年次有給休暇の確実な取得(年5日の時季指定)

    労働基準法改正により、年次有給休暇の確実な取得(年5日の時季指定)が定められました。

    使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の時季を指定して与える必要があります。

    労働者自らの請求によって年次有給休暇を取得した場合または労使協定で定めた計画年休で年次有給休暇を取得した場合は、取得日数分が5日から除かれます。

  • # 04

    労働時間の客観的な把握

    労働安全衛生法の改正により、労働時間の客観的な把握が定められました。

    産業医による面接指導等を行うため、タイムカードによる記録等客観的または適切な方法で労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。

  • # 05

    フレックスタイム制度の拡充

    労働基準法の改正により、フレックスタイム制度の拡充が定められました。

    フレックスタイム制度の清算期間の上限が1か月から3か月に延長されました。

    これにより、1か月のみならず2か月または3か月の総労働時間の範囲内で労働者の都合に応じた柔軟な働き方が可能となります。

    しかし、1か月を超える清算期間を設定する場合、以下の点に注意しなければなりません。

    1.1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超える場合は時間外労働となります。

    2.清算期間が1か月を超える場合は労使協定を届け出る必要があります。

  • # 06

    高度プロフェッショナル制度の導入

    労働基準法の改正により、高度プロフェッショナル制度が新設されました。

    職務範囲が明確で一定の年収を有する労働者が高度の専門知識を有する業務に従事する場合、以下を要件として労働時間・休日・深夜の割増賃金の規定が適用除外となります。

    1.職務範囲が明確で一定の年収を有する労働者が対象

    2.高度の専門知識を有する業務に従事する場合

    3.年間104日の休日を確実に取得させる等の健康確保措置を講じる

    4.本人の同意

    5.労使委員会の決議

    6.行政官庁への届出

  • # 07

    60時間超時間外労働割増賃金の引き上げ

    月60時間を超える時間外労働の割増賃金率について、中小企業も大企業と同じく、50%以上とする必要があるとされました。

  • # 08

    雇用形態に関わらない公正な待遇確保

    労働者派遣法の改正およびパートタイム・有期雇用労働法の改正により、雇用形態に関わらない公正な待遇確保が定められました。

    「同一労働・同一賃金」と呼ばれるもので、正社員と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の解消を目的としたものになっています。

企業の変化の時代の到来

働き方改革関連法の施行やコロナ禍を経て、国内の企業は大きな変化を求められています。

年次有給休暇の取得に積極的でなかった企業は年5日の取得のために各人の年次有給休暇の取得状況を管理することとなり、非正規雇用労働者を多く雇用することで人件費を抑えようとしていた企業は「同一労働・同一賃金」により不合理な待遇差を設けることが不可能となり、長時間労働が常態化していた企業は時間外労働の上限規制や割増賃金率の引き上げにより時間外労働そのものに歯止めがかかったり多額の割増賃金を支払うこととなるなど、これまでと比較すると不都合が生じたり不便さを感じる機会は多くなるかもしれません。

しかし、これらの法令を遵守することで企業そのものや働く社員、採用の面についても良い効果が期待されます。

今後、会社の発展を目指して社員と共に歩み続けるために、法令だから仕方なく守るのではなく、より活用してやろうという姿勢で取り組んでみるのはいかがでしょうか。

楠本人事労務研究所では長崎および佐世保を中心に、働き方改革を活用した会社の発展を支援するべく、専門家である社労士が日々活動しております。

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