キャリアアップ助成金受給成功の裏にあった多大な企業努力とは?
  1. 導入と背景

    導入と背景

    こんにちは!長崎県佐世保市の採用特化社労士事務所、楠本人事労務研究所です。

     

    今回は、弊所のお客様でもあります、整体業の会社のキャリアアップ助成金受給成功までの道程に関する記事になります。

    このお客様とは1年以上前に弊所と顧問契約を開始して、契約開始当初より従業員の採用と、それに伴うキャリアアップ助成金受給を目指して日々動き続けておりました。

     

    その中で、会社様とのやり取りで気を付けていたことや受給までの道程の中で、「ただ採用するのみではいけない」ことをお話させていただきます。

  2. 前社労士からの情報共有と引継ぎ

    情報共有と引継ぎ

    会社様には、弊所と顧問契約を開始されるより以前、別で契約していた社労士がおられました。

    そのため、今回は委託替えという形で弊所にご依頼いただきました。

    弊所としては当然ながら、委託替えに至った理由は気になるものです。

    会社側からの契約解除もあれば社労士側からの契約解除も考え得る、今回がどのようなケースか見極めなければならず、助成金申請に関しても現状どのような状況にあるのか、前社労士がどこまでやってくれていたのかも場合によっては直接、前社労士に問い合わせる場合もあるためです。

    委託解除の理由や状況によって、問い合わせのハードルも変わってきたりするものです。

    (場合によっては問い合わせた電話口で突然怒られるようなことも…癖強いよぉ…ナンデェ…)

     

    結論から申し上げますと、会社側からの契約解除が理由でした。

    前社労士が連絡が遅い、頭ごなしに言ってくる節があるため連絡取るのもなかなかしんどい、というのが主な理由のようで、弊所が引継ぎ等もあって直接ご連絡した際にも同様の印象を受けました。

     

    幸い、引継ぎや今後の助成金申請に関して必要になる情報は会社様の尽力と行政への情報提供依頼によって集まったため、最低限の情報は集まり、対象とすることを考えている従業員と現在の状況の整理ができるようになりました。

  3. 情報整理と計画の訂正

    情報整理と計画の訂正

    キャリアアップ助成金を今後申請するにあたり、まずは助成金の計画書を確かめなければなりません。

    キャリアアップ助成金計画書とは、一言でいえば「ウチの会社今後助成金申請するよ」ということを事前に行政に届け出るものです。

    この計画書に関与社労士が居る場合は、それも含めて記載する必要があるのですが委託替えがあった以上、この関与社労士を変えなければならないことと、計画期間が十分にあるかを確認する必要があります。

     

    計画期間は2年以上あったので問題は無く、計画書の関与社労士の変更も弊所が行うことで問題無く可能なため、これらの問題はすぐに解決しました。

     

    次に、現在の給与支払状況ですが、助成金申請対象として検討している従業員も含め、全従業員の賃金台帳やこれまでの出勤簿をいただき、今後の給与計算を会社の方で行うか、弊所に委託していただくかを話し合い、今後の計算は弊所で行うことになりました。

    会社で行っていただくのも良いですが、残業代の計算や残業時間の管理等、会社では少し難しい部分がありますので、助成金の申請をご検討されている場合は専門家にお任せいただいた方がより安全度は高まるでしょう。

  4. 助成金申請に必要な事前情報の共有

    助成金申請に必要な事前情報の共有

    会社の情報整理や、弊所への委託内容、計画書の訂正等が終わり、弊所への委託並びに助成金申請のために必要な情報が揃ったため、次のステップに進むことができるようになりました。

    次にやらなければならないことは、キャリアアップ助成金の要件を満たすために何を行えば良いのか、会社様にお伝えして実行いただくことです。

    本当は要件を全て知っておいていただくことが最善ではありますが、最初の時点で「わーっ!」と全てを詰め込もうとしても非常にややこしくて覚えきれないことがほとんどですので、弊所では最低限の以下の点だけお伝えするようにしています。

    (他の要件は従業員のご年齢や性別、状況を見て都度お尋ねしています)

    1.有期雇用契約から正規雇用を検討する場合、有期雇用期間が6か月以上あること

    2.正社員に転換する際に給料を3%以上、上昇させること

    3.賞与もしくは退職金を原則「契約社員は支給しない、正社員は支給する」という形にすること

     

    基本的にお伝えしているのはコレだけです。

    実際は有期雇用契約に関する就業規則の適用を受けた期間が6か月以上とか、正社員への転換規程の要件とか、細かい部分は多々あるのですが、それは就業規則の作成または改定を行う我々が知っていれば良いことです。

    情報を伝えすぎて整理できない、または混乱させてしまうくらいならば最初の時点ではお伝えしない、または「この辺は弊所がやるので、頭の隅っこに置いておくだけで大丈夫です」と添えて、情報の優先度に差を付けるようにしています。

  5. 会社の取組と現時点の就業規則の確認

    会社の取組と現時点の就業規則の確認

    事前に簡易的な要件をお伝えして、会社の現在の取組では全てを満たしておりました。

    就業規則も事前に確認しましたが、正社員の昇給規定もあり、賞与に関して契約社員には原則支給しないが正社員には原則支給するという規定もありました。

    聞けば、過去にも取り組もうとしたが前社労士との連携がうまくいかず、申請期間に間に合わなかったとのことです。

     

    しかしながら、正社員への転換規程が現在のキャリアアップ助成金の要件に対して不明瞭な部分があったためそれは追記するとして、あとは有期雇用契約および正規雇用契約を規定の期間、継続して毎月の給与計算を正しく行えば申請が出来る状況となりました。

  6. 初回申請と労働局からの連絡

    初回申請と労働局からの連絡

    有期雇用契約で6か月、更に正社員転換を行って6か月、ついにキャリアアップ助成金が申請できる状況になりました。

    助成金申請書をはじめとする各種書類を全て揃え、労働局に送付し申請が完了したことであとは申請結果通知が会社に届くのを待つばかりです。

    しかし、これで何もなければ良いのですが今回は労働局からの連絡がありました。

    聞けば、「過去に残業代の未払いがあります」とのことでした。

    実際に確認したところ、弊所が給与計算に関わるより以前、払い過ぎである月と不足分がある月の両方があり、これらを計算した結果、不足分が数千円程残っている状況でした。

     

    どのように取り扱うのが適切か、労働局と相談に相談を重ね、次回支払分にて追加で支給、その金額がわかるよう賃金台帳を提出するという形で収まりました。

    (全ての状況でこの対応があてはまるとは限らないので注意しましょう)

  7. 受給のご連絡

    受給のご連絡

    ある日、その連絡は来ました。

    「楠本さん!キャリアアップ助成金の受給通知が届きました!」

    要件は満たしていたにもかかわらず連携が上手くいかず、これまで失敗続きだった会社がついにキャリアアップ助成金の受給が叶い、こちらも誇らしい気分になりました。

    (ここから更に第2期の申請であったり、成功報酬のご請求があったりするので弊所も喜んでばかりもいられませんが…)

  8. 法改正のご連絡

    法改正のご連絡

    2025331日以前に正社員転換をした場合は問題ありませんが、202541日以降に正社員転換を行った場合、改正の適用を受けるため、合計2期分を申請するための有期雇用契約の期間が6か月から3年へと変化する旨を受給結果通知の際にお伝えさせていただきました。

    勿論、他にも2期分申請するための要件は複数あるのですが、どれもハードルが高い、または非現実的なものも多く、要件に当てはまり得る場合を除き、お伝えする情報はあらかじめ取捨選択をしております。

    また、いわゆる新卒入社を行った場合も1年間は対象とならないことも新卒採用を行った会社には併せてお伝えしています。

  9. キャリアアップ助成金の受給とその裏側

    キャリアアップ助成金の受給とその裏側

    キャリアアップ助成金は様々な種類がある助成金の中でも特に活用がしやすく、多くの会社が利用していた制度でしょう。

    今回の会社様も助成金の活用を考えた際に真っ先に選択肢として挙がったのがキャリアアップ助成金であったことからもそれは明らかですが、有期雇用契約からの転換等の要件が本来の活用の趣旨とは異なる、ということから、特定の状況を除き第1期分しか申請できない等、実質助成額が半額、ということになってしまっています。

     

    助成金受給の背景として、正社員転換をはじめとする就業規則の整備も行い、正社員転換時に昇給も行い、コンスタントに賞与を支給して雇用し続けて受給することができた、ということもあったのですが、人を採用して一定額以上の賞与を支給し続ける、昇給を続けるだけの余力が無い会社では助成金の受給自体が非常に難しくなっているにもかかわらず、その恩恵も半減しているということから、活用が難しい助成金になってしまっていると言わざるを得ません。

     

    助成金はあくまで健全な雇用の創出に対するリターンであり、助成金受給のために採用を行うということは本末転倒となってしまいます。

    これは弊所がお客様に常々お話していますが、「就業規則の作成然り、助成金が無くてもやる、と言えるのならば取り組みましょう。助成金の申請はあくまでオマケです」とすることで、目の前の助成金に目がくらまないように気を配らせていただいております。

  10. 楠本人事労務研究所からのメッセージ

    コロナ禍以降、雇用調整助成金の不正受給が相次いだこともあり、キャリアアップ助成金を取り巻く状況は非常に厳しいものになっています。

    ハッキリ言って、使い物にならない一歩手前と言われても仕方ない程です。

     

    しかし、そのような状況の中でも自社の取組を再度見直して、継続して雇用環境を改善し続けて、キャリアアップ助成金の申請に臨もうとしている会社も多く見られます。

     

    キャリアアップ助成金の申請には、既に雇用した従業員の状況によっては申請のスタートラインにすら立てない等、取り返しのつかない場合も往々として存在します。

    そうならないためにも、「従業員を雇って、半年経つタイミングで…」、「期間が経過したはずだから申請だけ…」とするのではなく、従業員を雇用する前の段階でご相談いただくことを強く推奨いたします。

     

    ご相談の際にはお気軽に長崎県佐世保市の社労士事務所、楠本人事労務研究所にお問合せください!

楠本人事労務研究所 代表社会保険労務士 楠本一紀

社会保険労務士

代表社会保険労務士 楠本一紀

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